日本脳炎の予防接種について

日本脳炎の予防接種について

この記事でわかること

  • 日本脳炎ワクチンの1期(3回)・2期(1回)の接種スケジュールを表で整理
  • 標準的な接種年齢と、定期接種(無料)として受けられる対象年齢の違い
  • 第3期がなくなった経緯と、特例措置で接種できる対象世代
  • 接種部位の腫れ・発熱などの副反応の種類と、受診を考える目安
  • うっかり受け忘れた・遅れた場合のキャッチアップの考え方

公的情報源: 厚生労働省「日本脳炎」(参照)/国立感染症研究所「日本脳炎」(参照

結論を先に書きます

日本脳炎ワクチンは、子どもを日本脳炎ウイルスから守る定期接種です。スケジュールは1期に3回、2期に1回の計4回が基本になります。

標準的な開始年齢は3歳ですが、定期接種(無料)として受けられる対象年齢には幅があります。「標準的な接種年齢」と「無料で受けられる対象年齢」は別物、ここを取り違えないことが大切です。

接種可否やスケジュールの組み方は体質や持病で変わります。最終的な判断は、かかりつけの小児科医に相談してください。制度や費用は自治体で異なるため、お住まいの市区町村の最新情報も合わせてご確認ください。

この記事の要点
  • 定期接種スケジュールは1期3回(標準3〜4歳)+2期1回(標準9〜10歳)の計4回
  • 無料の対象年齢は1期=生後6か月〜7歳6か月未満/2期=9歳〜13歳未満
  • 第3期は現在なし。ただし特例措置の対象世代は20歳未満まで受けられる場合がある
  • 副反応の多くは接種部位の腫れ・軽い発熱で、多くは数日で自然に落ち着く
  • 受け忘れても対象年齢内なら残り回数を無料で受けられることが多い

目次

日本脳炎とはどんな病気か

日本脳炎は、ウイルスを持った蚊に刺されてうつる感染症です。まず病気の性質を押さえておくと、なぜ予防接種がすすめられるのかが理解しやすくなります。

感染経路と主な症状

日本脳炎ウイルスは、ウイルスを保有したブタなどの動物を吸血したコガタアカイエカ(蚊の一種)を介して人にうつります。ウイルスを持つ蚊に刺されることで感染が成立し、人から人へ直接うつることはありません

感染しても、その大半(およそ99%)は症状の出ない不顕性感染で終わります。ただし発症した場合は、高熱・頭痛・嘔吐から始まり、意識障害・けいれん・麻痺といった重い神経症状に進むことがあります。

発症すると重症化しやすく、後遺症が残ることもあるのが、日本脳炎の怖さです。発症者の致命率は20〜30%とされ、回復しても神経の後遺症が残る場合があると報告されています。

現在の日本における感染リスク

「日本ではもうかからないのでは」と感じる保護者の方は少なくありません。けれど現在も毎年数例の患者が報告されており、リスクがゼロになったわけではないのが実情です。

特に注意したいのが、蚊の生息数が多い地域と季節です。下の点に当てはまる場合は、リスクが相対的に高い傾向があります。

  • 地域:西日本・農村部・水田地帯・沖縄など、蚊が多い地域
  • 季節:蚊が活発な7〜10月ごろ
  • 行動:都市部在住でも、農村部への帰省・旅行がある場合

ウイルスを保有するブタの抗体保有状況は西日本を中心に毎年確認されており、活動期の蚊への対策と予防接種の両方が予防の柱になります。

日本脳炎ワクチンの接種スケジュール

ここがこの記事の中心です。1期・2期の接種回数と時期、無料で受けられる対象年齢を表で整理します。

日本脳炎の定期接種は「第1期」と「第2期」の2段階・計4回で構成されています。下の表が全体像です。

区分回数標準的な接種時期接種間隔の目安定期接種(無料)の対象年齢
1期 初回2回3歳ごろ1回目と2回目を6〜28日あける生後6か月〜7歳6か月未満
1期 追加1回4歳ごろ初回2回目からおおむね1年あける生後6か月〜7歳6か月未満
2期1回9〜10歳ごろ(小学4年生が目安)9歳〜13歳未満

標準は3歳開始だが、生後6か月から接種は可能です。早めの接種を考える場合は、メリットと注意点をかかりつけ医と相談したうえで決めると安心できます。

第1期(標準3〜4歳)の接種内容

第1期は計3回の接種です。内訳は「初回2回」と「追加1回」に分かれます。

  • 初回(2回接種):標準的な開始年齢は3歳。1回目と2回目は6〜28日あけて受けます
  • 追加(1回接種):標準的な時期は4歳ごろ。初回2回目からおおむね1年あけて受けます
  • 無料の対象年齢:生後6か月〜7歳6か月未満

生後6か月から接種自体は可能ですが、標準的には3歳での開始がすすめられています。地域のリスクや家庭の事情で早めを希望する場合は、接種開始の時期をかかりつけ医に相談してください。

第2期(標準9〜10歳)の接種内容

第2期は、小学4年生(9〜10歳)を目安に1回接種します。無料で受けられる対象年齢は9歳〜13歳未満です。

第2期は、第1期で得た免疫を長く保つための追加接種にあたります。1期だけで終わらせず、2期もきちんと受けることがすすめられています。

なお、かつては第3期(中学2年・14〜15歳ごろ)も設けられていましたが、現在の制度では定期接種から外れています。

特例措置の対象になる世代

過去の経緯から、特例措置で接種を受けられる世代があります。これは、一時期に積極的な接種の呼びかけが控えられていた影響で、接種機会を逃した人への救済措置です。

該当する可能性があるのは、おおむね平成7年度〜平成18年度生まれの世代などです。対象であれば、決められた年齢の範囲内(20歳未満など)で、不足分を定期接種として受けられる場合があります。

特例措置は対象世代や受けられる年齢の上限が細かく決まっており、年度や自治体で扱いが異なります。自分の子が対象かどうかは、母子手帳の接種記録を確認のうえ、自治体の窓口に問い合わせるのが確実です。

接種費用と無料で受けられる条件

定期接種の対象年齢内であれば、原則として自己負担なしで接種を受けられます。下の年齢が無料の目安です。

  • 1期:生後6か月〜7歳6か月未満
  • 2期:9歳〜13歳未満

対象年齢を過ぎると「任意接種」となり、1回あたり5,000〜8,000円程度の費用がかかるのが一般的です。ただし自治体によっては独自の補助制度がある場合もあるため、費用面はお住まいの市区町村窓口で確認してください。

予防接種にかかる費用の助成や、子育て世帯が使える支援制度を広く知りたい方は、子育て世帯が使える補助金・給付金まとめも参考になります。

副反応の種類と対処法

予防接種を前に、副反応が心配になるのは自然なことです。よく起こる軽い反応と、まれな重い反応を分けて知っておくと、落ち着いて見守りやすくなります。

よくある副反応

日本脳炎ワクチンで比較的多くみられる副反応は、接種部位や全身の軽い症状です。その多くは数日以内に自然に落ち着くとされています。

  • 接種部位の症状:発赤・腫れ・痛み(よくみられる)。1週間ほどで自然におさまることが多い
  • 全身症状:発熱・倦怠感・頭痛。接種翌日前後にみられることがある
  • 発疹・じんましん:まれにみられるが、多くは軽く数日で回復することが多い

まれな重い副反応

ごくまれに、アナフィラキシー(急性のアレルギー反応)が接種直後に起こることがあります。頻度は非常に低いものの、接種後すぐ帰宅せず、医療機関で15〜30分ほど様子をみることが大切です。

万一に備え、接種を受けた施設の近くで体調の変化を見守る時間をとってください。気になる症状が出たときに、その場ですぐ相談できる状態にしておくと安心です。

副反応が出たときの対処と接種当日の注意点

接種当日と翌日の過ごし方の目安をまとめます。下の点を意識すると、過度に心配しすぎずに見守れます。

  • 激しい運動は避ける(入浴・シャワーは問題ないことが多い)
  • 接種部位は清潔に保つ。強くこする必要はない
  • 接種部位の赤み・腫れは1週間ほどで自然に引くことが多く、通常は特別な処置は不要
  • 高熱でぐったりしている、けいれんがあるなど、いつもと様子が大きく違うときは速やかに受診

症状の感じ方には個人差があります。「これは受診すべき?」と迷ったときは、自己判断で様子をみすぎず、かかりつけの小児科や地域の救急相談窓口に相談してください。

受け忘れ・接種が遅れた場合のキャッチアップ

「うっかり忘れていた」「引っ越しで手続きが遅れた」というケースは珍しくありません。対象年齢内なら、残りの回数を定期接種として受けられることが多いので、まずは慌てず確認しましょう。

定期接種の期限と遅れた場合の扱い

無料で受けられる期限は、1期・2期それぞれの対象年齢です。期限内であれば、遅れていても残りの回数を定期接種(無料)として受けられるのが原則です。

  • 1期(3回):7歳6か月未満が無料の対象。期限を過ぎると任意接種(自費)
  • 2期(1回):9歳〜13歳未満が無料の対象。13歳以降は任意接種(自費)

たとえば1期初回の1回目だけ受けて、その後を忘れていた場合でも、7歳6か月未満であれば残り2回を無料で受けられることが多いです。まずは母子手帳で接種記録を確認してください。

期限を過ぎてしまったときの考え方

対象年齢を過ぎてしまった場合は、任意接種(自費)として受けることは可能です。日本脳炎は重い後遺症を残しうる感染症のため、費用がかかっても接種の完了を考える価値はあります。

特に、西日本・農村部に住んでいる場合や、農村地帯への旅行・帰省が多い家庭では、年齢を過ぎていても接種を検討する余地があります。個別の事情に応じた判断は、かかりつけ医や自治体の保健センターに相談すると整理しやすくなります。

接種を見合わせる・注意が必要なケース

次のような場合は、接種を延期・見合わせる必要があります。当日の体調も含め、迷ったら接種前に医師へ相談してください。

  • 当日に37.5℃以上の発熱がある場合
  • 重い急性の病気にかかっている場合
  • 過去にワクチンの成分でアナフィラキシーを起こしたことがある場合
  • 免疫の働きが弱まる治療を受けている場合(主治医と要相談)
  • 過去の接種後に、発熱・発疹以外の神経症状が出たことがある場合

同時接種とスケジュールへの組み込み方

3歳前後は他のワクチンとも時期が重なりやすく、スケジュールの組み方に迷う保護者の方が多い時期です。同時接種の考え方を押さえておくと管理がラクになります。

日本脳炎ワクチンは同時接種できる?

日本では、同じ日に複数のワクチンを受ける「同時接種」が認められており、日本脳炎ワクチンも他のワクチンと同時に接種できるとされています。

接種漏れを防ぎ、スケジュール管理をしやすくする観点から、同時接種は一般的に活用されています。どのワクチンを同じ日にまとめるかは、接種歴と体調を踏まえてかかりつけ医と相談して決めると安心です。

3歳前後のスケジュール例

3歳ごろに接種が重なりやすいワクチンとの組み合わせ例です。あくまで一例で、個別の状況はかかりつけ医と相談のうえ決定してください。

時期の目安日本脳炎同じ時期に重なりやすいもの
3歳0か月ごろ1期 初回1回目インフルエンザ(シーズン中)と同時接種が可能なことが多い
3歳1か月ごろ1期 初回2回目時期がずれるワクチンが多く、競合しにくい
4歳ごろ1期 追加水痘2回目などが完了していることが多い

毎年の冬に向けたインフルエンザの考え方は、子どものインフルエンザ予防接種でも整理しています。

他ワクチンとの間隔ルール

日本脳炎ワクチンは不活化ワクチンです。一般に、不活化ワクチン同士の接種間隔には決まった制限がなく、別日でも接種しやすいとされています。

一方で、BCGなどの生ワクチンとの間隔は一定の日数(27日以上など)をあける必要がある場合があります。スケジュールに不安があるときは、母子手帳を持参してかかりつけ医に相談すると、子に合った計画を立てやすくなります。

まとめ

日本脳炎の予防接種は、重い後遺症を防ぐための大切な定期接種です。最後に要点を振り返ります。

この記事のまとめ
  • 日本脳炎は蚊が媒介する感染症で、発症すると重症化・後遺症のリスクが高い
  • 定期接種スケジュールは1期3回(標準3〜4歳)+2期1回(標準9〜10歳)の計4回
  • 無料の対象年齢は1期=7歳6か月未満/2期=9歳〜13歳未満
  • 第3期は現在なし。特例措置の対象世代は20歳未満まで受けられる場合がある
  • 副反応の多くは接種部位の腫れ・軽い発熱で、多くは数日で自然に回復
  • 受け忘れても、対象年齢内なら残り回数を無料で受けられることが多い
  • 接種可否・スケジュール・最新の制度はかかりつけ医や自治体で確認

スケジュールの組み方や接種の可否は、子の体質や持病、住んでいる地域のリスクによって変わります。判断に迷ったときは、母子手帳を持ってかかりつけの小児科に相談するのが、いちばん確実で安心できる方法です。

よくある質問

日本脳炎の予防接種について、保護者の方から多い質問をまとめます。

Q1:日本脳炎の予防接種は何歳から受けられますか?

定期接種(無料)の対象は生後6か月〜7歳6か月未満(1期)で、標準的な開始年齢は3歳です。生後6か月から接種自体は可能ですが、早めの接種を希望する場合は、メリットと注意点をかかりつけ医と相談したうえで判断するのがおすすめです。

Q2:1期の接種を忘れていました。今からでも無料で受けられますか?

子が7歳6か月未満であれば、まだ受けていない回数を定期接種(無料)として受けられることが多いです。たとえば初回1回目しか受けていない場合、残り2回を無料で受けられるケースがあります。まずは母子手帳で接種記録を確認し、かかりつけ医や自治体の保健センターに相談してください。

Q3:都市部に住んでいますが、日本脳炎ワクチンは必要ですか?

都市部でも接種はすすめられています。理由は2つあります。第1に、帰省や旅行で農村部・西日本を訪れる機会があれば感染リスクが生じること。第2に、日本脳炎は発症した場合の重症化リスクが高い病気であることです。接種の要否に迷う場合は、生活圏や帰省先を踏まえてかかりつけ医に相談してください。

Q4:第3期がなくなったと聞きました。特例措置とは何ですか?

現在の制度では第3期(中学2年ごろ)は定期接種から外れています。一方、過去に接種の積極的な呼びかけが控えられた時期があり、その影響で接種機会を逃した世代向けに特例措置が設けられています。自分の子が対象かどうかは年度・自治体で扱いが異なるため、母子手帳を確認のうえ自治体窓口に問い合わせるのが確実です。

Q5:MRワクチンなど他のワクチンと同時に接種しても大丈夫ですか?

日本では同時接種が認められており、日本脳炎ワクチンも他のワクチンと同時に接種できるとされています。接種漏れを防ぎ、スケジュール管理をしやすくするメリットがあります。どのワクチンをまとめるかは、接種歴と体調を踏まえてかかりつけ医と相談して決めると安心です。


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免責事項

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。予防接種の可否・スケジュール・費用は、お子さんの健康状態や既往歴、お住まいの自治体によって異なります。接種の判断はかかりつけの医師にご相談いただき、最新の制度は厚生労働省・自治体等の公的情報をご確認ください。


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この記事を書いた人

保育士の Inoue です。保育の専門家として10年以上働きながら、2人の子どもを育てています。保育士として学んだ専門知識と、2児の母として日々実践していることを合わせてお届けします。

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