子宮回復の目安
お産直後の子宮は大きくて、
おへそのあたりまであり固くなって
産後1、2日は触れます。
だんだん小さくなり触れなくなります。
じょじょに小さくなり、
産後3~4週間ぐらいで
妊娠前の状態に戻ります。
子宮回復の目安になるのが、
後陣痛(こうじんつう)と悪露です。
それ以後は軽くなりますが、個人差があり、
母乳育児のママや経産婦のほうが
強く感じることが多いようです。
悪露
産後は、子宮から出産時の出血の残りや
胎児の卵膜、子宮内膜のかけらなどが出てきます。
これがいわゆる「悪露」になります。
帝王切開でも悪露は出ます。
産後3~4日目ぐらいまでは、
産褥パッドの大サイズ(新生児用おむつほどの大きさ)に
見合うほどの悪露が出てきます。
その後、しだいに量が少なくなり、
退院のころは生理ぐらいか、
一般的には1カ月健診の頃までにはなくなりますが、
2カ月かかる人も多いです。
悪露の排出は約3週間
出産後、子宮に溜まっていた血液や、
胎盤のはがれたところからの出血です。
また卵膜の残りなど排出されます。
産後約3週間にわたって排出されますが、
子宮が収縮しているのにしたがって
子宮の傷も治り、出血も少なくなってきます。
だんだんと悪路の色や量も少なくなっていきます。
手当ては拭き方に注意しましょう
悪露の手当ては出産直後は
看護婦さんがやってくれますが
その後自分でやらなくてはいけません。
手当てはふき綿を使います。
市販のものでもかまいません。
肌が敏感な人は、脱脂綿で代用します。
脱脂綿を5センチ角くらいに切り、
沸騰したお湯で煮沸消毒してから
2パーセントのホウ酸水にひたします。
とくにかぶれやすい人は
煮沸するだけでよいと思います。
手をよく洗って
悪露の手当てはときにわずらわしく
感じることもあるかと思いますが、
手を抜くと細菌が感染して子宮や膣、
あるいは卵巣や卵管の炎症をおこすことがあります。
悪露の排出がおわるまで気をつけてください。
後陣痛
産後、子宮の収縮に伴い、強い痛みを感じます。
これを「後陣痛」といい、2~3日間つづきます。
痛みの程度は個人差がありますが、
一般的に経産婦のほうが強い傾向があり、
初産婦さんの中には軽い生理程度か、
全く感じないという人もいます。
経産婦さんは、前回の出産時に
ホルモンの指令を受けるレセプターが、
体の中に増えているので、
ホルモンの指令を敏感に感じることができます。
出産後の注意したい症状
悪露がいつまでも赤い
出産後、10日を過ぎても悪露が、
血の混じった赤い色をしているようなら注意して下さい。
子宮の収縮が不十分なために
子宮の回復が遅れてるわけです。
分娩時に微弱陣痛だった人、
帝王切開だった人などは起こりやすいので
十分に安静と休養をとるように心がけてください。
高熱が出る
産後2,3日したころ、突然震えがきて
38度から39度の高熱があったら
産褥熱かもしれません。
分娩の際子宮壁や膣壁にできた
無数の傷に細菌が入り
化膿をおこすものですが、
難産だからおこりやすいということではありません。
抗生剤の投与を受けて安静にし、休養してください。
排尿時に痛む
尿の回数が増え一回の量が少なくて
排尿時に痛むようなら膀胱炎かもしれません。
医師に相談し抗生剤を受け清潔に保つ必要です。
出産後の体型を戻すためには
妊娠・分娩後は、お腹や腰、
また外陰部や膣の筋肉や皮膚が
伸びきったり、ゆるんだりしています。
これは、日にちが経過するにつれて
ある程度は元に戻りますが、
油断していると、そのまま肥満に移動したり、
ウエストなしのズンドウ体型になりかねません。
できるだけ体を動かすようにするほか、
産褥体操で筋肉を引き締め
血液の循環をよくするのが、産後の体型を整えるコツです。
始める時期は産後24時間以上たってからにしましょう。
ただし会陰切開をした場合や、
帝王切開で出産した場合などは、
すぐには 始められないことが多いので、
必ず医師に許可をもらいましょう。
産褥体操は呼吸法や腹筋運動、
足首を動かす運動などを中心に毎日続けることが大切です。
ただ体調に合わせて、
無理のないように進めて行ってください。
始めは呼吸程度のごく軽い運動からはじめ、
少しずつ運動量を多くしていき、
1週間目からは2、3種類の運動を
1日2~3回行うとスケジュールが おすすめです。
この方法でだいたい元の体型に戻るのは、
だいたい1ヶ月後になりますが個人差はあります。
根気強く毎日 続けることがポイントになります。
産後の体型を戻すための産褥体操の紹介
1日目
■ 準備運動として深呼吸
胸式呼吸10回×2~3セット、腹式呼吸10回×2~3セット
※胸式呼吸
両手を胸にあて、ゆっくり息を吸ったり吐いたりする。
※腹式呼吸
両手をお腹にあて、息を吸ったときに下腹をふくらませ、吐いたときにもどるようにする。
■ 足の血行をよくする
足首の運動を左右10回ずつ。(×2~3セット)
2日目
■ 頭をすっきりさせる
頭を起こす運動を10回×3セット
※頭を起こす運動
ひざを曲げないように、息を吸いながら頭を起こし、
少しそのままで止め、息を吐きながら頭をおこす。
■ 血液の循環をよくする。
腕の上げ下げ運動を左右10回ずつ。(×3セット)
※腕の上げ下げ運動
手のひらを上にして、肩と水辺に両手を伸ばす。
そのまま腕を上げてき、胸の上で少し力を入れて手のひらをぴったり合わせる。
3日目
■ 下半身の血行をよくする
足の上げ下げ運動を左右5回ずつ(×3セット)
※足の上げ下げ運動
左右の足を交互に上げ下げさせる。
■ 膣や会陰部の回復を早める
肛門の引き締め運動を10回×3セット
※肛門の引き締め運動
両ひざを立ててあおむけに寝てお腹に手をおいて、肛門をしめたり、ゆるめたりする。
4~5日目
■ おなかを引き締める
腹筋を5回×数セット
※腹筋
両ひざを立ててあおむけに寝て、背中の下に手を入れてすきまを作る。
お腹の筋肉に少しずつ力をいれる。
■ ウエストを引き締める
骨盤傾斜運動を左右5回ずつ(×2セット)
※骨盤傾斜運動
両手を腰にあててあおむけに寝る。
右腰は床につけたまま左腰を上に上げるようにして2秒ぐらい静止してからもとに戻す。
6~7日目
■ おなかと腰を引き締める
腰上げ運動を5回ずつ(×3セット)
※腰上げ運動
息を吸いながら腰を上げ、少し静止して息を吐きながら腰をおろす。
■ 足を引き締める
足の開閉運動を5回×3セット
足の開閉運動
ひざを開くように力を入れる。手伝う人は閉じる方向へ力を入れる。
逆にひざを閉じるように力を入れ、手伝う人は開く方へ力を入れる。
8日目~
今までの運動を繰り返し行う。
産褥体操を行うにあたる注意事項
- 医師の許可を得ましょう。
- はじめは軽い運動から、少しずつ増やしていく。
- 発熱、痛みがあるときはやらないでください。
出産後の生活
産後、体が妊娠前とほぼ同様な状態に戻るには
約6週間~8週間かかります。
この間は疲れやすく、精神的にも不安定なうえ、
赤ちゃんの世話が加わるので、
無理をすれば 健康をそこないがちです。
家事や育児はできるだけ旦那や親に協力してもらって、
新しい生活のリズムを作っていくことが大切です。
ただし、あまり大事をとって
体を動かさないと母体の回復が進みません。
少しずつ体を動かず時間と範囲を広げるようにしましょう。
また、車や自転車に乗ったり、
長時間の外出は、退院後3週間を過ぎてからにしましょう。
食生活の注意点
産後の生活で大事にしなければならないのが、食生活です。
出産により消耗した体力を回復させ、
授乳に備えるためには十分な栄養が必要になるからです。
だからといって、あまり食事量を多くしすぎることは
肥満につながりますので、
食事の質を高めることが 大切なポイントになります。
栄養価の高いものをとるのはもちろんですが、
かといって脂っこいものはおすすめできません。
香辛料や甘すぎるお菓子、
添加物を使っているインスタント類も気をつけましょう。
出産後の職場復帰
産後も仕事を続けたい場合、
母体がだいたい回復する
出産6週間を過ぎてからにしたいものです。
労働基準法でも「産後、6週間を経過しない女子を就職させてはならない」とされています。
産後1ヶ月検診を受け、
医師の許可を得ることも大切です。
マタニティーブルーについて
赤ちゃんが無事に生まれてほっとした頃、
急に涙もろくなったりイライラしたりすることを
マタニティーブルーといいます。
これはだいたいの人に起こることなので、
あまり心配しなくても大丈夫です。
マタニティーブルーが起こる原因は、
妊娠中に胎盤から大量にでていた
エストリオールという女性ホルモンが、
出産後に急激に減少し、
これが精神状態に影響するといわれています。
赤ちゃんが無事に育つだろうかという不安や、
きちんと世話をしなければという責任感や重圧感、
またそのための 心身の過労、
思うようにできないときの挫折感やあせり、
将来にたいする絶望感などが加わると、
育児ノイローゼという状態に陥ることもあるようです。
一般的な症状は、
ちょっとした事で涙もろくなったり、
憂鬱になったり、夜が眠れなくなったり、
イライラしたりします。
マタニティーブルーがおきやすい時期は、
出産後4〜5日目頃と退院後1週間目頃です。
この時期をうまく乗り切るためには、
まずとりこし苦労をしないで、のんきに構えることです。
入院中ならば担当の医師に相談して、
安全な安定剤や睡眠薬などを処方してもらい、
よく眠れるようにしましょう。
退院後は、赤ちゃんの世話や家事を
一人で全部背負いこもうとせず、
旦那や親の手を借りましょう。
赤ちゃんの世話に関しては完璧守備にならないことが、
ノイローゼを防ぐための一番の方法です。
また、赤ちゃんと二人で閉じこもらず、
友達や親などの気の許せる人と
おしゃべりなどをして気分転換を考えましょう。