保育士資格の取り方【独学・通信・試験スケジュール】

この記事でわかること

  • 保育士資格の取り方は「養成施設卒業」と「保育士試験合格」の2ルートある
  • 保育士試験の受験資格・科目・合格率(約20%)と最短取得期間
  • 社会人が働きながら通信講座で取得する具体的な方法と費用相場
  • 資格取得後の登録手続きから就職までの流れ

保育士資格の取り方には大きく分けて2つのルートがあり、自分の学歴・経歴・生活スタイルによって最適な方法が異なります。「独学でも受験できる?」「働きながら取れる?」という疑問をお持ちの方に向けて、受験資格の条件から試験スケジュール、通信講座の費用比較、実技試験の対策まで、合格に必要な情報を一気に解説します。この記事を読めば、あなたに合った最短ルートがはっきりわかります。

目次

保育士資格の取り方は「養成施設」か「保育士試験」の2ルート

ルート①:保育士養成施設を卒業する

国が指定した保育士養成施設(2年制または4年制の専門学校・短大・大学)を卒業すると、筆記試験や実技試験を受けることなく自動的に保育士資格が取得できます。全国に約600校以上の養成施設があり、卒業と同時に資格が手に入るため、合格率100%の確実なルートです。カリキュラムには保育実習が含まれており、現場でのスキルを在学中に身に付けられる点が最大のメリットです。一方で、2年制の場合は学費が150万〜200万円程度かかること、日中に通学が必要なことが社会人には大きなハードルとなります。高卒以上であれば誰でも入学できるため、これから保育士を目指す10代〜20代前半に特に向いているルートです。

ルート②:保育士試験に合格する

保育士試験(国家試験)に合格することで資格を取得するルートです。筆記試験(9科目)と実技試験(3分野から2分野を選択)に合格すると保育士資格が交付されます。このルートは通信講座や独学で対策できるため、社会人や子育て中の方が働きながら挑戦しやすいのが特徴です。ただし、受験するためには学歴や実務経験などの受験資格を満たす必要があります。試験は年2回(前期4月・後期10月)実施されており、一度不合格になった科目も3年間は合格が持ち越されるため(科目免除制度)、複数回に分けて合格を積み上げることが可能です。合格率は例年15〜25%程度で、しっかりとした学習計画が必要です。

2つのルートを比較して自分に合った方法を選ぶ

比較項目 養成施設卒業 保育士試験合格
取得までの期間 2〜4年 最短6ヶ月〜1年
費用の目安 150万〜200万円 5万〜20万円
働きながら取得 通信制なら可能 可能
合格の確実性 卒業で自動取得 合格率15〜25%
受験資格の条件 高卒以上で入学 学歴・実務経験で異なる
向いている人 確実に取りたい・学生 社会人・費用を抑えたい

保育士試験の受験資格|学歴・実務経験の条件を確認する

大卒・短大卒・専門学校卒(2年以上)の場合

大学・短大・専門学校(修業年限2年以上かつ62単位以上)を卒業している場合は、学部・学科を問わず保育士試験の受験資格があります。文系・理系・保育系以外の専攻でも問題なく受験できます。また、2年制以上の専門学校を卒業していれば、保育・福祉系以外の学科(例:調理、ファッション、IT系など)でも受験資格が認められます。社会人としてすでに働いている方であれば、現職を続けながら通信講座や独学で試験対策を進めることが可能です。試験勉強の期間は一般的に6ヶ月〜1年程度が目安とされており、1日1〜2時間の学習を確保できれば十分対応できます。

高卒の場合(卒業年度によって条件が異なる)

高校卒業の場合は、卒業した年度によって条件が異なります。平成3年3月31日以前に高校を卒業した方は、そのまま受験資格があります。平成3年4月1日以降に高校を卒業した方は、「保育士・幼稚園教諭・社会福祉士・介護福祉士などの養成施設」または「児童福祉施設での実務経験2年以上(かつ2,880時間以上)」のいずれかが必要です。高校の普通科・商業科・工業科など一般的な課程を卒業した場合は、実務経験を積んでから受験するルートが現実的です。実務経験として認められる施設は、認可保育所・認定こども園・放課後児童クラブ・乳児院・児童養護施設など多岐にわたります。

中卒・高校中退の場合(実務経験ルート)

中学校卒業または高校中退の場合でも、一定の条件を満たせば保育士試験を受験できます。具体的には、児童福祉法に定める施設での実務経験が5年以上(かつ7,200時間以上)あることが条件です。対象施設は保育所・認定こども園・放課後児童クラブ・児童養護施設・乳児院などが含まれます。保育補助や保育助手として施設で働きながら実務経験を積み、その後に保育士試験を受験するという流れになります。時間はかかりますが、学費を抑えながら現場経験と資格の両方を手に入れられる点が強みです。実務経験の証明には、施設長が発行する「勤務証明書」が必要になるため、勤務先に事前に確認しておきましょう。

ポイント:受験資格の確認は早めに

  • 大卒・短大卒・2年制以上の専門学校卒 → 学科不問で受験可能
  • 高卒(平成3年4月以降卒業)→ 児童福祉施設での実務経験2年・2,880時間以上が必要
  • 中卒・高校中退 → 児童福祉施設での実務経験5年・7,200時間以上が必要
  • 受験資格の詳細は都道府県の子ども家庭局または試験機関(一般社団法人全国保育士養成協議会)に確認すること

保育士試験の科目・実技・スケジュール・合格率

筆記試験9科目の内容と出題傾向

保育士試験の筆記試験は、以下の9科目で構成されています。各科目は100点満点で、60点以上が合格ラインです。一度合格した科目は3年間有効(免除)となるため、すべての科目を一度に合格する必要はありません。出題形式はマークシート方式で、選択肢から正解を選ぶ問題が中心です。「保育の心理学」「保育原理」「子どもの保健」は出題範囲が広く、特に勉強量が必要です。「社会福祉」「児童家庭福祉」は法律や制度の理解が問われるため、改正内容のチェックも重要です。

科目名 問題数 難易度目安
保育の心理学20問★★★
保育原理20問★★★
子ども家庭福祉20問★★☆
社会福祉20問★★☆
教育原理10問★★☆
社会的養護10問★★☆
子どもの保健20問★★★
子どもの食と栄養20問★★☆
保育実習理論20問★★☆

実技試験3分野の内容と選び方

筆記試験の全科目に合格した後、実技試験を受験します。実技試験は「音楽表現」「造形表現」「言語表現」の3分野から2分野を選んで受験します。各分野の評価は50点満点で、30点以上が合格ラインです。音楽表現はピアノ・ギター・アコーディオンのいずれかで課題曲を弾き歌いします。2025年度の課題曲は毎年1月頃に公表されます。造形表現は45分間で保育の場面を描く絵画課題で、事前に画材の準備が必要です。言語表現は3分間で子ども向けのお話(昔話など)を素話(台本なし)で語ります。得意分野で選ぶことが合格の近道ですが、音楽は楽器経験がない方にはハードルが高いため、造形+言語の組み合わせを選ぶ受験者が多い傾向にあります。

試験スケジュールと合格率の推移

保育士試験は年に2回実施されます。前期試験は4月(筆記)・6月(実技)、後期試験は10月(筆記)・12月(実技)が例年のスケジュールです。申し込み締切はそれぞれ試験の約2ヶ月前に設定されており、前期の場合は1月末〜2月初旬、後期の場合は7月末〜8月初旬が締切目安です。試験の申し込みはインターネットまたは郵送で行い、受験手数料は12,950円(2025年度実績)が必要です。合格率は2019年以降おおむね20〜25%で推移しており、難関国家試験のひとつです。ただし、科目合格の持ち越し制度を活用して複数回受験した場合の最終合格率はさらに高くなります。計画的に2〜3回の受験を見据えたスケジューリングが合格への近道です。

通信講座・独学での勉強法と費用比較

主要通信講座の費用・特徴を比較する

保育士試験の対策として最も多くの社会人が選んでいるのが通信講座です。テキスト・映像授業・添削指導などがセットになっており、独学より効率よく学習を進められます。主要講座の費用は以下のとおりです。ユーキャンの保育士講座は受講料が約69,000円(税込)で、9科目分のテキストと映像講義がセットになっており、初学者に特に人気があります。フォーサイトは約49,800円(税込)とコスパが高く、eラーニング中心の学習スタイルで、スマホでの学習が中心の方に向いています。ニチイの保育士合格コースは約75,000円で、添削課題が充実しており、記述力を高めたい方に適しています。いずれも受講期間は6〜12ヶ月程度が標準で、試験の前日まで質問対応や補講を利用できる講座も多いです。

独学で合格するための学習方法

受験資格を満たしており、費用を最小限に抑えたい場合は独学も選択肢です。独学の場合、市販のテキストと過去問題集を中心に学習を進めます。費用は参考書代(5,000〜15,000円程度)と受験料のみで済むため、最も低コストな方法です。ただし、独学は自己管理が重要であり、学習計画の立て方と継続力が合格の鍵を握ります。おすすめの学習ステップは、①全科目の概要を掴む(1〜2ヶ月)→ ②各科目を深く学ぶ(3〜4ヶ月)→ ③過去問を繰り返し解く(1〜2ヶ月)の流れです。厚生労働省が公表している「保育所保育指針」は無料でダウンロードできるため、必ず熟読しておきましょう。過去問は一般社団法人全国保育士養成協議会のサイトで公開されているものを活用すると費用を抑えられます。

通信制養成校という選択肢(養成施設×通信制)

通信制の保育士養成施設に入学する方法もあります。通信制養成校は、通信教育で保育に関する科目を履修しながら、スクーリング(面接授業)と実習をこなすことで卒業資格を得ます。卒業と同時に保育士資格が取得できるため、試験の合否を気にせず確実に資格を取りたい方に向いています。学費は年間25万〜50万円程度が多く、2年間で50万〜100万円程度かかります。養成校の卒業という形になるため、求人票で「養成校卒」が条件に含まれる場合にも対応できます。仕事を続けながら通える設計になっており、スクーリングは週末に集中しているケースが多いです。一方で、スクーリングへの出席と保育実習(合計8週間程度)は必須のため、職場との日程調整が必要になります。

ポイント:方法別の費用まとめ

  • 独学(市販テキスト+受験料のみ):2万〜3万円
  • 通信講座(ユーキャン・フォーサイト等):5万〜8万円
  • 通信制養成校:50万〜100万円(2年間)
  • 通学制養成施設(短大・専門学校):150万〜200万円(2年間)

社会人・働きながら保育士資格を取る具体的な方法

仕事と学習を両立する1日のスケジュール例

フルタイムで働きながら保育士試験に合格した方の多くが、1日1〜2時間の学習時間を確保しています。具体的には、通勤電車の中でスマホを使いテキストを確認する、昼休みに過去問を1〜2問解く、帰宅後に30分〜1時間まとめて学習するというパターンが多く見られます。週末は3〜4時間まとめて苦手科目を集中的に学ぶスタイルが効果的です。通信講座の映像授業は1本あたり10〜30分程度のものが多く、隙間時間に分割して視聴しやすい構成になっています。特に保育士試験は9科目と幅広いため、どの科目から始めるかの優先順位付けが重要です。「教育原理」「社会的養護」は各10問で他の科目より少ないため、まずこの2科目をセットで攻略するのが定番の戦略です。

フルタイムで働きながら保育士試験に合格した方の多くが、1日1〜2時間の学習時間を確保しています。具体的には、通勤電車の中でスマホを使いテキストを確認する、昼休みに過去問を1〜2問解く、帰宅後に30分〜1時間まとめて学習するというパターンが多く見られます。週末は3〜4時間まとめて苦手科目を集中的に学ぶスタイルが効果的です。通信講座の映像授業は1本あたり10〜30分程度のものが多く、隙間時間に分割して視聴しやすい構成になっています。特に保育士試験は9科目と幅広いため、どの科目から始めるかの優先順位付けが重要です。「教育原理」と「社会的養護」は各10問で他の科目より問題数が少ないため、まずこの2科目をセットで攻略するのが定番の戦略です。

科目免除制度を活用した複数年計画の立て方

保育士試験には「科目合格の持ち越し制度」があり、合格した科目は翌年・翌々年の試験まで免除されます(合格年を含む3年間)。この制度を活用して、1年目に5科目・2年目に残り4科目を合格するという計画を立てる社会人が多くいます。年2回の試験があるため、1年間で最大4回(前期・後期の筆記・実技)チャレンジできます。例えば、4月の前期試験で5科目合格し、10月の後期試験で残り4科目に挑戦することで、最短1年以内に全科目をクリアすることも十分可能です。一度でも合格した科目は再受験しなくてよいため、毎回の試験で「今回はこの科目に集中する」と絞り込んで対策できるのがこの制度の大きなメリットです。

資格取得後の登録手続きと就職までの流れ

保育士登録の手順(資格証の交付まで)

保育士試験に合格しただけでは、「保育士」として働くことはできません。合格後は都道府県に「保育士登録」の申請を行い、保育士証(資格証)の交付を受ける必要があります。申請手順は、①登録手数料(4,200円)を振り込む → ②登録申請書類を一般社団法人全国保育士養成協議会に郵送する → ③保育士証が郵送されてくる、という流れです。申請から証明書が届くまでの期間は通常1〜2ヶ月程度かかります。就職先が決まっている場合は、登録申請の手続きを合格後すぐに行うことで、入社時に保育士証を提示できます。なお、養成施設を卒業した場合は学校がまとめて登録手続きを代行してくれるケースも多いので、学校側に確認しましょう。

保育士資格取得後の就職活動のポイント

保育士は全国的に需要が高く、就職先の選択肢は豊富です。認可保育所・認定こども園・小規模保育施設・学童保育(放課後児童クラブ)・病院内保育所・企業内保育所など、勤務先の種類は多岐にわたります。求人探しには、保育士専門の転職・就職サービス(ほいく畑、保育士バンク、マイナビ保育士など)を活用すると、非公開求人も含めて探せるため効率的です。これらの専門サービスはキャリアアドバイザーが無料で相談に乗ってくれるため、初めての就活でも安心して進められます。待遇面では近年、処遇改善が進んでおり、月給20万〜25万円(未経験・関東圏)が相場です。保育士不足が続いているため、未経験でも正社員採用されやすい環境が整っています。

よくある質問

保育士資格の取り方として、完全独学(実務経験なし)でも受験できますか?
受験資格を満たしていれば、勉強方法は独学でも問題ありません。ただし、「実務経験なしで受験できるか」という点については、大卒・短大卒・2年制以上の専門学校卒であれば実務経験は不要です。一方、高卒(平成3年4月以降卒業)の場合は実務経験2年・2,880時間以上が受験条件となります。受験資格と勉強方法は別の話なので、まず自分の学歴で受験資格があるかを確認しましょう。
保育士試験の合格率はどのくらいですか?難しいですか?
保育士試験の合格率は例年15〜25%程度で推移しており、国家試験の中では難易度が高い部類に入ります。ただし、科目合格の持ち越し制度があるため、複数回に分けて合格を積み上げることが可能です。通信講座や計画的な学習を行えば、1〜2年で全科目クリアを目指せます。一夜漬けではなく、6ヶ月〜1年の計画的な学習期間を確保することが合格への近道です。
保育士試験の申し込み締切はいつですか?
前期試験(4月実施)の申し込み締切は例年1月末〜2月初旬、後期試験(10月実施)の申し込み締切は7月末〜8月初旬が目安です。インターネット申し込みと郵送申し込みで締切日が異なる場合があるため、一般社団法人全国保育士養成協議会の公式サイトで最新の日程を必ず確認してください。締切を逃すと次の試験まで半年待つことになるため、スケジュール管理は徹底しましょう。
通信講座と独学、どちらが保育士試験に合格しやすいですか?
一般的に通信講座の方が合格しやすいとされています。理由は、出題範囲を効率よく絞ったテキスト・映像授業・添削指導があることで、独学よりも短期間で要点を習得できるためです。独学は費用を大幅に抑えられる反面、どこを重点的に学べばよいかの判断が難しく、勉強が非効率になりやすいリスクがあります。初学者や試験勉強の経験が少ない方には、費用5万〜8万円程度の通信講座を選ぶことをお勧めします。

まとめ

保育士資格の取り方:この記事のまとめ

  • 保育士資格の取り方は「養成施設卒業」と「保育士試験合格」の2ルートがあり、社会人には試験ルートが現実的
  • 受験資格は学歴によって異なる(大卒・短大卒は実務経験不要、高卒は2年・2,880時間以上の実務経験が必要)
  • 筆記試験9科目+実技試験2分野が課され、科目合格の持ち越し制度(3年間)を活用して複数年計画で合格を目指せる
  • 通信講座は5万〜8万円程度で受講でき、1日1〜2時間の学習で働きながら6ヶ月〜1年での合格実績がある
  • 合格後は都道府県への保育士登録(手数料4,200円)が必要で、保育士証の交付まで1〜2ヶ月かかる

※本記事の情報は一般的な情報提供を目的としています。受験資格・試験日程・費用等は変更される場合があります。最新の情報は一般社団法人全国保育士養成協議会および各都道府県の公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

保育士の Inoue です。保育の専門家として10年以上働きながら、2人の子どもを育てています。保育士として学んだ専門知識と、2児の母として日々実践していることを合わせてお届けします。

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