この記事でわかること
- 育児休業の取り方の基本ステップ(申し出→書類→ハローワーク)と申請期限
- 取得できる対象者・条件(パート・契約社員でも取れるか)
- 育休期間の基本と延長、産後パパ育休の仕組み
- 育児休業給付金の給付率・計算例・受取タイミングと社会保険料の免除
- 2025年4月以降の育休関連の改正のポイント(確定・要確認の区別)
結論を先に書きます
育児休業は法律で守られた権利です。育休開始日の1ヶ月前までに職場へ申し出て、書面(育児休業申出書)で申請するのが取り方の第一歩になります。正社員だけでなく、条件を満たせばパートや契約社員でも取得できます。
収入面の不安については、育児休業給付金(最初の180日は給与の67%、181日目以降は50%)に社会保険料の免除を合わせると、手取りの約8割程度が目安とされています。制度は法改正で変わるため、金額や最新の取り扱いは厚生労働省・ハローワークで確認するのが安全です。
- 取り方の基本は「開始1ヶ月前までに書面で申請」。口頭だけでは完了しない会社が多い
- 2022年4月の改正で勤続1年以上の要件が撤廃。パート・契約社員も取りやすくなった
- 期間は原則1歳まで。保育園に入れない等で最長2歳まで延長できる
- 給付率は67%→50%。社保免除と合わせて手取り約8割が目安(個人差あり・要確認)
育児休業の取り方がわからず、手続きに不安を感じる方は少なくありません。本記事では申請のタイミングから給付金の受け取りまで、必要な情報を順番に整理します。
育児休業の取り方|申請から取得までの基本ステップ
育休の取り方は、大きく「職場への申し出」「書類提出」「ハローワークへの届け出」の3ステップで進みます。順番を押さえておくと、給付金を受け取りながらスムーズに育休へ入れます。
- 職場への申し出と申請のタイミング
- 育児休業申請に必要な書類と提出先
- 申請から育休開始までのスケジュール
職場への申し出と申請のタイミング
育休を取得する場合、原則として育休開始日の1ヶ月前までに職場(直属の上司または人事部門)へ申し出ます。出産予定日が定まったら、まず上司へ口頭で伝え、その後に書面(育児休業申出書)で正式に申請するのが基本の流れです。
口頭だけでは申請が完了しない会社も多くあります。書面での手続きまで忘れずに済ませましょう。
出産予定日の2〜3ヶ月前に職場へ意向を伝えておくと、業務の引継ぎ準備に余裕が生まれます。育休中の業務をカバーする担当者を決める必要があるため、早めの相談は職場全体にとっても助かるはずです。
育児休業申請に必要な書類と提出先
必要な書類は会社によって異なりますが、一般的には次のものが求められます。
- 育児休業申出書:会社所定の書式に、子の出生予定日・育休の開始日・終了予定日などを記載
- 出生を証明する書類:母子手帳の写しや出生届のコピーなど(出生後に提出)
提出先は人事部または総務部が一般的です。会社は育児・介護休業法により、従業員からの申し出を拒否できません。
万が一「育休は取れない」と言われた場合は、就業規則を確認するか、都道府県労働局の雇用環境・均等部に相談しましょう。判断に迷う点は、最寄りのハローワークでも相談を受け付けています。
申請から育休開始までのスケジュール早見表
申請からハローワークの認定までの大まかな流れを、時期ごとに整理します。
| 時期 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 出産予定日の2〜3ヶ月前 | 上司へ口頭で育休取得の意向を伝える | 引継ぎ・体制整備のために早めが安心 |
| 育休開始日の1ヶ月前まで | 「育児休業申出書」を人事に提出 | 法律上の申請期限 |
| 出産後(速やかに) | 出生証明書類を会社へ提出 | 母子手帳の出生届出済証明欄など |
| 育休開始後2ヶ月以内 | ハローワークから給付金の認定通知 | 会社経由でハローワークへ申請 |
| 育休終了の1ヶ月前 | 職場復帰日を会社に連絡 | 保育園入園の可否を確認してから調整 |
出産でもらえるお金や手当の全体像は、出産でもらえるお金でも整理しています。あわせて確認しておくと、育休前後の家計を見通しやすくなります。
育児休業を取得できる条件と対象者
育児休業は、正社員に限った制度ではありません。2022年4月の育児・介護休業法改正で有期雇用労働者の要件が緩和され、より多くの人が育休を取りやすくなりました。
雇用形態・勤務年数の要件
以前は「同一事業主に継続して1年以上雇用」という勤続要件がありましたが、2022年4月の改正でこの勤続1年要件は撤廃されました。
現在、有期雇用労働者(契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなど)は「子が1歳6ヶ月までの間に労働契約が満了することが明らかでない」という条件を満たせば取得できます。
ただし、労使協定を締結している会社では「雇用期間が1年未満の従業員」を対象外とする場合もあります。就業規則の確認は欠かせません。
日雇い労働者・自営業者は対象外
育児・介護休業法の対象は、雇用関係にある労働者です。そのため、フリーランス・個人事業主・自営業者は法律上の育児休業の対象外になります。
- 対象外①:自営業・フリーランス(国保加入者向けの類似制度や自治体独自支援がある場合あり)
- 対象外②:日雇い労働者(日々または30日以内の期間の雇用契約者)
- 公務員:別途「国家公務員育児休業法」等が適用されるが、基本的な内容は民間と同様
自営業の方も、居住地の市区町村に確認すると独自の支援制度が見つかることがあります。子育て世帯が使える支援の全体像は、子育て世帯が使える補助金・給付金まとめで一覧化しています。
育児休業の期間と延長・産後パパ育休の仕組み
育児休業は原則として子が1歳になるまでですが、状況によっては最長2歳まで延長できます。2022年10月からは「産後パパ育休(出生時育児休業)」も創設され、男性の育休がより柔軟になりました。
- 基本期間は「子が1歳まで」
- 最長2歳まで延長できるケース
- 産後パパ育休(出生時育児休業)の特徴
基本期間は「子が1歳まで」
育休の基本期間は、子が1歳の誕生日を迎える前日までです。女性は産後休業(出産後8週間)が終了した翌日から育休を開始するのが一般的で、男性(配偶者)は出産当日から取得できます。
父母ともに取得する場合は「パパ・ママ育休プラス」が使え、原則として子が1歳2ヶ月になるまで育休期間を延長できます(各自の育休期間は最大1年)。夫婦で交代しながら取ることで、家庭全体として長く育休を活用できます。
最長2歳まで延長できるケース
1歳時点で保育園に入所できなかった場合(待機児童など)は、1歳6ヶ月まで延長できます。1歳6ヶ月時点でも入所できなければ、2歳まで再延長が可能です。
延長申請には「保育園入所不承諾通知」などの証明書類が必要です。これは市区町村から発行されるため、延長を希望する場合は保育園の入所申し込みを行い、不承諾通知を取得する手続きが要ります。
申請期限は1歳の誕生日の2週間前まで(再延長は1歳6ヶ月の2週間前まで)。手続きが遅れると給付金が途切れるリスクがあるため、スケジュール管理が大切です。
産後パパ育休(出生時育児休業)の特徴
2022年10月に新設された産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に最大4週間(28日間)取得できる制度です。通常の育児休業とは別に取得でき、合わせると父親は最大約2ヶ月の育休が可能になります。
- 分割取得:2回まで可能(例:出生直後に2週間+産後6週目に2週間)
- 育休中の就業:労使協定を締結している場合は一定範囲で就業も可能
- 給付金:通常の育児休業給付金と同様に受け取れる
- 原則:子が1歳の誕生日前日まで
- 延長①:保育園不承諾の場合は1歳6ヶ月まで
- 延長②:それでも入所できなければ2歳まで
- パパ・ママ育休プラス:父母ともに取得で1歳2ヶ月まで
- 産後パパ育休:出生後8週間以内に最大4週間(2回まで分割可)
育児休業給付金の金額・計算方法・受取方法
育休中の最大の不安は「収入が減ること」ではないでしょうか。育児休業給付金と社会保険料の免除を合わせると、手取りの約8割程度を維持できると言われています。金額には個人差があるため、仕組みを正確に押さえておきましょう。
給付率の仕組みと具体的な計算例
育児休業給付金は雇用保険から支給されます。給付率は育休開始から最初の180日が休業前賃金の67%、181日目以降は50%です。
さらに育休中は社会保険料(健康保険・厚生年金)が免除されるため、実質的な手取りの目減りは抑えられます。
たとえば月給30万円の方なら、最初の180日は約20.1万円(30万円×67%)が支給される計算です。社会保険料の負担(おおむね月4〜5万円程度)がなくなる分も考えると、休業前と大きく変わらない生活水準を保てるケースが多くなります。
| 期間 | 給付率 | 月給30万円の場合の支給額(目安) |
|---|---|---|
| 育休開始〜180日 | 67% | 約20.1万円 |
| 181日目以降 | 50% | 約15万円 |
| 父母ともに14日以上取得の最初28日間(2025年4月〜) | 実質約80%相当 | 約24万円相当(社保免除込み) |
2025年4月からは、父母ともに14日以上の育休を取得した場合に、最初の28日間の給付率を80%相当(給付金+社会保険料免除で手取りほぼ100%)へ引き上げる「出生後休業支援給付」が施行されています。金額の試算や適用条件は個人差が大きいため、最新の取り扱いはハローワークで確認してください。
なお、給付率の数値や上限額は法改正・年度更新で変わります。本記事の金額はあくまで目安です。
社会保険料・住民税の免除について
育休期間中は、健康保険料と厚生年金保険料が本人負担分・会社負担分ともに免除されます(雇用保険料は引き続き対象)。
この免除は自動では適用されません。会社が日本年金機構へ「育児休業等取得者申出書」を提出することで手続きされます。月末にまたがって育休を取得していることが条件で、月の途中から始めた場合でもその月の末日に育休中であれば免除されます。
住民税は前年の収入をもとに計算されるため、育休1年目は前年度分が引き続き課税されます。翌年(育休2年目以降)は大幅に減額されることが多くなります。育休中は特別徴収から普通徴収(自分で納付)に切り替わるケースもあるため、会社の担当者に確認しておきましょう。
給付金の申請手続きと受取タイミング
給付金の申請は、基本的に会社(事業主)がハローワークへ行います。従業員が直接ハローワークに申請するわけではありませんが、必要書類は会社へ提供します。
- 雇用保険被保険者証
- 母子健康手帳の写し
- 振込口座の情報
給付金は2ヶ月ごとにまとめて指定口座へ振り込まれます。最初の支給は育休開始から約2〜3ヶ月後になることが多く、それまで収入がゼロになる期間も生じます。育休前にある程度の貯蓄を準備しておくと安心です。
育休取得時の注意点と職場復帰の準備
育休を円滑に取得し、復帰もスムーズに進めるには、育休前・育休中・復帰前の3段階でやるべきことを把握しておくことが大切です。
育休前にやっておくべきこと
育休に入る前に済ませておく手続きや準備は多岐にわたります。家計と業務の両面で、抜け漏れがないか確認しましょう。
- 育児休業申出書を会社に提出したか
- 給付金の振込先口座の情報を会社に伝えたか
- 2〜3ヶ月分の生活費を準備したか
- 業務引継ぎ書を作成し、担当者に渡したか
- 保育園の入所申し込みスケジュールを確認したか
- 住民税の納付方法を会社に確認したか
業務の引継ぎ書を作り、社内の連絡先や業務マニュアルを整備しておくと、会社にも本人にも役立ちます。育休中に会社から連絡が来た場合の対応(メール確認の頻度・緊急連絡先など)も、上司と事前に決めておくとトラブルを防げます。
保育園申し込みのスケジュールと注意点
復帰時期と密接に関わるのが、保育園の入所申し込みです。多くの自治体では、4月入所の一次申し込み締め切りが前年10〜11月頃に設定されています。
4月復帰を希望する場合は、子が生後数ヶ月のうちに申し込む必要があります。認可保育園の入所選考は「保育の必要性(点数)」が高い家庭が優先されるため、両親ともにフルタイム就労予定であることなどを証明する書類が求められます。
都市部では4月入所の倍率が高く、希望した保育園に入れないことも珍しくありません。「入れなかった場合は育休を延長する」選択肢も念頭に置き、複数の保育園を候補に入れて申し込むのが現実的です。具体的な見学・申し込みの進め方は、保育園の選び方|見学で確認すべきポイントで詳しく解説しています。
育休中・復帰前にやっておくと役立つこと
育休中は育児に専念する期間ですが、復職に向けて少しずつ準備を進めておくと気持ちに余裕が生まれます。
- 業務で使うスキル・資格の学習
- 育休コミュニティへの参加、職場の同僚との情報交換
- 配偶者との家事・育児分担の話し合い
育休を機に家事分担を見直した夫婦ほど、復帰後の生活がスムーズだったという声が多く聞かれます。育休終了予定日が決まったら、遅くとも1ヶ月前には会社へ復帰日を連絡し、担当業務の確認や引継ぎのスケジュールを話し合っておきましょう。復帰のタイミングで働き方を見直したい方は、子育て中の転職|成功するタイミングと注意点も参考になります。
よくある質問
育児休業の取り方について、よく寄せられる質問を整理します。
Q1:パートタイムでも育休は取れますか?
取れます。パートタイムや契約社員でも育児休業を取得できます。2022年4月の改正で「同一事業主に継続して1年以上雇用」という要件が撤廃され、「子が1歳6ヶ月になるまでの間に労働契約が満了し更新されないことが明らかでない」という条件を満たせば取得可能です。
ただし、労使協定で雇用1年未満の方を対象外としている会社もあります。就業規則または人事部門に確認するのが確実です。
Q2:育休中にアルバイトや副業はできますか?
育児休業中の就労は原則禁止ですが、会社の許可があれば就業できる場合があります。育休中の就労日数や収入が一定以上になると、給付金が減額または支給停止になります。
目安として、1支給単位期間(約2ヶ月)の就業日数が10日以下(または就業時間が80時間以下)であれば、給付金は満額支給とされています。副業を検討する場合は、会社と雇用保険の取り扱いについて事前に相談しましょう。
Q3:育休を取得したら昇進・昇給に影響しますか?
法律上、育児休業の取得を理由とした不利益な取り扱い(降格・減給・解雇など)は禁止されています(育児・介護休業法第10条)。不当な扱いを受けた場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部に相談できます。
ただし、育休中は実際には勤務していないため、査定対象期間が減る結果として昇給ペースが同期より遅くなるケースは実態としてあります。会社の評価制度を事前に確認しておくと安心です。
Q4:育休給付金はいつから受け取れますか?
最初の振り込みは育休開始から約2〜3ヶ月後になることが多くなります。支給は2ヶ月ごとにまとめて行われるため、育休開始直後は収入がゼロになる期間があります。
収入が途切れないよう、育休に入る前に3ヶ月分程度の生活費を準備しておくと安心です。会社が申請を速やかに行えば、最短で2ヶ月弱で最初の給付を受け取れるケースもあります。
Q5:男性も育休を取れますか?産後パパ育休との違いは?
男性も育児休業を取得できます。男性は出産当日から取得でき、通常の育児休業に加えて産後パパ育休(出生後8週間以内に最大4週間)を別枠で使えます。
産後パパ育休は2回まで分割でき、合わせると父親は最大約2ヶ月の育休が可能です。最新の給付の取り扱いは、ハローワークで確認してください。
まとめ
育児休業の取り方を、申請・条件・期間・給付金の観点から最後に整理します。
- 取り方の第一歩は育休開始1ヶ月前までに職場へ申し出て書面で申請すること
- 正社員だけでなくパート・契約社員も条件を満たせば取得可能(2022年4月〜要件緩和)
- 期間は原則1歳まで、保育園不承諾なら最長2歳まで延長できる
- 給付率は180日まで67%・181日目以降50%。社保免除と合わせ手取り約8割が目安(個人差あり)
- 育休前に保育園の申し込みスケジュールと生活費の確保を確認しておく
育児休業は法律で守られた権利です。制度は法改正で変わるため、給付金の金額や2025年以降の改正など、最新情報は厚生労働省・最寄りのハローワークで確認しながら進めるのが安全です。個別の事情は会社の人事部門や社会保険労務士へ相談すると、より確実に手続きを整えられます。
育休前後で使えるお金の全体像は、子育て世帯が使える補助金・給付金まとめで確認しておくと、申請漏れを防げます。
免責事項
※本記事は育児休業制度に関する公開情報をもとにした一般的な整理です。制度・給付率・金額は法改正により変動するため、最終的な判断は厚生労働省・ハローワーク・お住まいの自治体等の最新情報をご確認ください。個別の状況については会社の人事部門や社会保険労務士など専門家へご相談ください。
