出産でもらえるお金

出産でもらえるお金

この記事でわかること

  • 出産でもらえる・戻ってくるお金は大きく6種類。それぞれ「もらえる人」と「申請先」が違う
  • 出産育児一時金は2023年4月から原則50万円。健康保険に入っている人なら立場を問わず対象
  • 会社員・専業主婦(夫)・フリーランスでもらえる制度が変わる(働き方別に整理)
  • 児童手当など申請が遅れると取り戻せないお金がある。期限の早いものから順に動く
  • 制度・金額は変わるため、最新は協会けんぽ・お住まいの自治体の公式で確認するのが前提

公的情報源: 全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産育児一時金」(参照)/こども家庭庁「児童手当制度」(参照

結論を先に整理します

出産でもらえるお金は、ひとつの大きな手当があるわけではありません。健康保険・雇用保険・国・自治体・税金(確定申告)という別々の窓口から、複数の制度が少しずつ重なっています。

ポイントは2つだけです。ほとんどの制度が「申請しないともらえない」こと。そして、もらえる制度が働き方(会社員・専業主婦・フリーランス)で変わること。まずは自分が何に当てはまるかを知るのが出発点になります。

この記事の要点
  • もらえる・戻ってくるお金は出産育児一時金/出産手当金/育児休業給付金/児童手当/医療費控除/自治体の助成の6本柱
  • 出産育児一時金(原則50万円)と児童手当は、働き方を問わず多くの人が対象
  • 出産手当金・育児休業給付金は本人が健康保険・雇用保険に入っている場合が前提
  • 金額・要件は改正されるため、最終確認は公式サイト・自治体窓口でおこなう

この記事では、出産・育児で「もらえる/戻ってくる」お金の制度に絞って、対象者・金額・申請先・期限を一覧で整理します。出産そのものに「かかる費用」の目安は出産にかかる費用についてでまとめているので、合わせて確認すると全体像が見えやすくなります。

目次

出産でもらえるお金の全体像【制度一覧】

最初に、どんな制度があるのかを一覧で押さえておきます。

出産にまつわるお金は、「もらえるお金(給付)」と「戻ってくるお金(還付・補助)」に分けて考えると整理しやすくなります。下の表が全体像です。金額は2026年時点の目安で、要件や上限は改正・自治体差があるため、最終的には各公式で確認してください。

制度窓口金額の目安主な対象
出産育児一時金健康保険・国民健康保険原則50万円健康保険加入者(本人・扶養とも)
出産手当金健康保険(協会けんぽ等)給与の約2/3×産休日数健康保険に入って働く本人
育児休業給付金雇用保険(ハローワーク)給与の67%→50%雇用保険加入者で育休を取る人
児童手当お住まいの市区町村月1万〜3万円高校生年代までの子の養育者
医療費控除税務署(確定申告)還付額は所得による年間医療費が一定額を超えた世帯
自治体の助成お住まいの市区町村自治体により差妊婦健診の補助など

このうち、出産育児一時金と児童手当は多くの人が受け取れます。一方で出産手当金と育児休業給付金は、後で説明するとおり「本人が保険に入って働いているか」が条件になる点に注意が必要です。

それぞれの制度を、ここから順番に見ていきます。

出産育児一時金(原則50万円)

まず押さえたいのが、出産そのものに対して支給される出産育児一時金です。

出産育児一時金は、健康保険または国民健康保険に入っている人が出産したときに支給されるお金です。金額は2023年4月から、産科医療補償制度に加入する医療機関での出産で原則50万円になりました(それ以前は原則42万円)。古い情報では42万円と書かれていることがあるため、最新の金額で確認しておきましょう。

  1. もらえる人と金額
  2. 受け取り方(直接支払制度・受取代理制度)
  3. 申請先と期限

もらえる人と金額

出産育児一時金は、働き方を問わず、健康保険に入っていれば対象になります。会社員本人はもちろん、専業主婦(夫)で配偶者の扶養に入っている場合も、配偶者の加入する健康保険から支給されます。

区分金額の目安
産科医療補償制度に加入する医療機関での出産原則50万円
上記制度に加入しない施設での出産など48.8万円

妊娠85日(約12週)以降であれば、死産・流産の場合も支給対象になります。見落とされやすい点なので、該当する方は加入先の健康保険へ確認してください。

受け取り方(直接支払制度・受取代理制度)

受け取り方には主に2つの仕組みがあります。

  • 直接支払制度:健康保険が医療機関へ直接支払う仕組み。多くの病院が対応していて、退院時の窓口負担が一時金を差し引いた額で済みます。費用が50万円未満なら差額が後から振り込まれます。
  • 受取代理制度:小規模な診療所・助産院などで使われる仕組み。事前に申請書を出すことで、医療機関が本人に代わって請求します。

どちらを使えるかは医療機関によって異なるため、出産予定の施設に早めに確認しておくと安心です。

申請先と期限

直接支払制度を使わない場合や差額を受け取る場合は、自分で申請します。申請先は加入先の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村の国保窓口)です。

申請期限は出産日の翌日から2年以内が目安です。必要書類は申請書・健康保険証・出産費用の領収書・振込口座などが一般的ですが、保険者によって異なるため、加入先の案内に従ってください。詳細は協会けんぽ「出産育児一時金」でも確認できます。

出産手当金と育児休業給付金(働いている人向け)

次は、働いている本人が受け取れる2つのお金です。どちらも本人が保険に入って働いているかどうかで対象が変わります。

  1. 出産手当金(健康保険)
  2. 育児休業給付金(雇用保険)

出産手当金(産休中の生活を支える)

出産手当金は、健康保険に入って働く本人が、産前産後の休業中に受け取れるお金です。会社員・公務員などが対象で、国民健康保険のみのフリーランス・自営業は対象外になります。

支給額の目安は「標準報酬日額の約2/3」を、産前42日(多胎は98日)+産後56日の範囲で受け取る形です。標準報酬日額は、おおまかには直近の月給を30で割った金額と考えると分かりやすいでしょう。

項目内容の目安
対象健康保険に入って働く本人
1日あたり標準報酬日額の約2/3
対象日数産前42日+産後56日(範囲内)
申請先加入先の健康保険(会社経由が一般的)

実際の金額は給与や休んだ日数で変わります。正確な額は、勤務先の担当部署か加入先の健康保険に確認するのが確実です。

育児休業給付金(育休中の収入を補う)

育児休業給付金は、雇用保険に入っている人が育休を取得したときに受け取れるお金です。窓口は会社経由のハローワークになります。

支給率の目安は、育休開始から180日目までが給与の67%、それ以降は50%です。育休中は社会保険料が免除される仕組みもあるため、手取りベースで見ると支給率の数字以上に負担が軽くなる場合があります。

なお、両親がともに育休を取る場合の給付を手厚くする見直しなど、制度は段階的に変わっています。最新の支給率・要件は、勤務先の担当部署やハローワークで確認してください。子育て世帯が使える給付の全体像は子育て世帯が使える補助金・給付金まとめでも整理しています。

児童手当・医療費控除・自治体の助成

最後に、出産後から長く関わってくるお金を見ていきます。児童手当・医療費控除・自治体の助成の3つです。

児童手当(2024年10月から拡充)

児童手当は、子どもを養育している人に市区町村から支給されるお金です。2024年10月の制度改正で、対象や金額が大きく見直されました。

  1. 支給対象が高校生年代(18歳到達後の最初の3月末)まで延長
  2. 所得制限が撤廃され、所得にかかわらず受給可能に
  3. 第3子以降は月3万円に増額(多子加算の拡充)

支給月額の目安は、3歳未満が月1万5,000円、3歳〜高校生年代が月1万円(第3子以降は月3万円)です。申請先はお住まいの市区町村で、出生後の早い段階で認定請求をおこないます。

ここで重要なのが申請が遅れた分はさかのぼって支給されない点です。出生届の提出とあわせて、退院後できるだけ早く手続きを済ませるのが安心です。最新の金額・要件はこども家庭庁「児童手当制度」で確認できます。

医療費控除(確定申告で戻る可能性)

医療費控除は、1年間の医療費が一定額を超えた場合に、確定申告で税金の一部が戻る可能性がある仕組みです。妊婦健診費・分娩費・通院の交通費など、出産関連の自己負担は対象になり得ます。

戻る金額は所得や医療費の額によって変わるため、一律にいくらとは言えません。補助券で賄われた分や、出産育児一時金などで補填された金額は差し引いて計算する点に注意してください。判断に迷う場合は、国税庁の情報や税務署で確認するのが確実です。

自治体の助成(妊婦健診の補助など)

妊婦健診は健康保険が使えず原則自費ですが、多くの自治体が健診費用の補助券(受診票)を交付しています。補助の回数や金額は自治体によって差があります。

母子健康手帳の交付とあわせて受け取れることが多いため、妊娠が分かったら早めにお住まいの市区町村の窓口へ行きましょう。自治体ごとに独自の出産・子育て支援を設けている場合もあります。地域・行政・民間で使える制度は子育て支援サービス一覧にまとめています。

働き方別「もらえるお金」早見表

ここまでの制度を、働き方別に整理しておきます。もらえる制度は立場で変わるため、自分の状況に近い列を確認してください。下の表はあくまで一般的な目安で、加入状況によって例外があります。

制度会社員(本人)専業主婦(夫)の扶養フリーランス・自営業
出産育児一時金対象対象(配偶者の保険から)対象(国保から)
出産手当金対象対象外原則対象外
育児休業給付金対象(要件あり)対象外原則対象外
児童手当対象対象対象
医療費控除対象になり得る対象になり得る対象になり得る
自治体の助成対象対象対象

会社員は受け取れる制度が幅広く、専業主婦(夫)・フリーランスは出産手当金や育児休業給付金が対象外になりやすい点が特徴です。

ただし、フリーランス向けに国民年金保険料の産前産後免除制度があるなど、立場ごとに別の支えも用意されています。「自分は対象外かも」と思っても、加入先や自治体に一度確認してみる価値はあります。

申請の流れと期限チェック

制度ごとに窓口も期限も違うため、期限が早いものから順に動くのが失敗しないコツです。時期別にやることを整理しました。

妊娠中にやること

  • 母子健康手帳と妊婦健診の補助券を市区町村で受け取る
  • 出産予定の医療機関に「直接支払制度が使えるか」を確認する
  • 会社員は勤務先に、出産手当金・育児休業給付金の手続きの流れを確認しておく

出産後すぐにやること

出産後は手続きが集中します。体調がすぐれないことも多いため、配偶者や家族と分担できる体制を整えておくと安心です。

  • 出生届を市区町村に提出する(出生後14日以内が目安)
  • 児童手当の認定請求を市区町村でおこなう(遅れた分はさかのぼり支給されない)
  • 子どもの健康保険への加入手続きをする

産後にやること

  • 出産手当金・育児休業給付金の申請を会社経由で進める
  • 自分で申請する場合の出産育児一時金は、出産日の翌日から2年以内に申請する
  • 医療費が一定額を超えた年は、翌年の確定申告で医療費控除を検討する

期限のあるものを後回しにすると、もらえるはずのお金を取りこぼすことがあります。「申請が遅れて損をしないこと」が最大のポイントです。

よくある質問

出産でもらえるお金について、よく寄せられる質問を整理しました。

Q1:専業主婦でも出産育児一時金はもらえますか?

受け取れます。配偶者の扶養に入っている場合は、配偶者が加入する健康保険から出産育児一時金(原則50万円)が支給されます。申請の窓口は配偶者の勤務先や加入先の健康保険です。ただし、出産手当金や育児休業給付金は本人が保険に入って働いている場合が前提のため、扶養のみの場合は対象外になります。

Q2:フリーランス・自営業がもらえるお金はどれですか?

国民健康保険に加入しているフリーランス・自営業の方は、出産育児一時金と児童手当が受け取れます。一方で、出産手当金・育児休業給付金は健康保険・雇用保険の加入が前提のため、原則として対象外です。なお、国民年金保険料の産前産後免除制度など、別の支えもあります。詳しくはお住まいの自治体・年金窓口でご確認ください。

Q3:申請し忘れると取り戻せないお金はありますか?

特に注意したいのが児童手当です。出生後の認定請求が遅れると、遅れた月の分はさかのぼって支給されないのが原則です。出生届の提出とあわせて早めに申請しましょう。出産育児一時金などは申請できる期間に比較的余裕がありますが、いずれも早めの手続きが安心です。

Q4:出産育児一時金は42万円ではないのですか?

2023年4月から原則50万円に引き上げられました。それ以前は原則42万円だったため、古い情報には42万円と書かれていることがあります。最新の金額は協会けんぽや加入先の健康保険の公式情報で確認するのが確実です。

Q5:もらえるお金と、出産にかかる費用は別ですか?

別の話として整理すると分かりやすいです。この記事は「もらえる・戻ってくるお金」の制度を扱っています。出産に実際にかかる費用の目安は、入院・分娩の方法や地域で変わるため、出産にかかる費用についてで別途まとめています。両方を見ると、手元にいくら準備すればよいかが見えてきます。

まとめ:制度を知って、申請漏れを防ぐ

出産でもらえるお金について、最後に要点を整理します。

この記事のまとめ
  • もらえる・戻ってくるお金は6本柱(出産育児一時金/出産手当金/育児休業給付金/児童手当/医療費控除/自治体の助成)
  • 出産育児一時金は原則50万円、児童手当は働き方を問わず多くの人が対象
  • 出産手当金・育児休業給付金は本人が保険に入って働いていることが前提
  • ほとんどの制度は申請しないともらえない。期限の早いものから動く
  • 金額・要件は変わるため、最新は公式・自治体窓口で確認する

出産でもらえるお金は、制度の存在を知っているかどうかで受け取れる額が変わります。まずは自分の働き方でどれが対象になるかを確認し、期限のあるものから手続きを進めるのが、申請漏れを防ぐいちばんの近道です。

子育て世帯が使える給付の全体像は子育て世帯が使える補助金・給付金まとめ、地域で使える支援は子育て支援サービス一覧でも確認できます。


免責事項

※本記事は公開情報をもとにした整理であり、2026年時点の一般的な目安です。制度の金額・要件・期限は改正や自治体ごとの差があります。最終的な判断は、協会けんぽ・各健康保険組合・ハローワーク・こども家庭庁・お住まいの市区町村など各公式の最新情報をご確認のうえおこなってください。


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この記事を書いた人

保育士の Inoue です。保育の専門家として10年以上働きながら、2人の子どもを育てています。保育士として学んだ専門知識と、2児の母として日々実践していることを合わせてお届けします。

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